Cottage Design Karuizawa  Karuizawa                      




山荘だよりVol. 5
Vol. 1 Vol. 2 Vol. 3 Vol. 4 Vol. 5 Vol. 6 Vol. 7 Vol. 8 Vol. 9 Vol. 10   Vol. 11
Vol.12                     

Vol. 5の内容

○デンマークの旅から

○KARUIZAWA WINE ACADEMY 2010秋 無限 (欧風料理で信州ワイン&ボジョレ・ヌーボーを愉しむ) 12/2 ’10

○ボジョレヌボーと燻製で年忘れ 12/14 '11

○フインランド オーボ・アカデミー大学男声合唱団コンサート 於 小海松原湖(長湖畔やルビーホール 9/1 '12)

コペンハーゲンのお勧め新旧建築リスト ルイスポールセンジャパン 8/24/2012

○シンポジウム −フインランド/建築、デザインから見る木の可能性。− 於:脇田和美術館10/6 2012

○民家再生 降幡廣信の仕事 建築士ネットワーク2012分化講演会 10/28 2012



 

デンマークの旅から〜 

            

撮影時期: 2006年5月2日〜8日

於   : コペンハーゲン



樹上のフルーティスト 黒歌鳥(クロウタドリ・Eurasian Blackbird)の番い


 懐かしの声を求めて公園に出た 幸運にも姿までもカメラに収めることができた 上の写真にマウスポインターをのせると拡大します 

この歌声を聴くとオランダ勤務時代が懐かしく胸に迫る。当時住んでいたアムステルダムオリンピック選手村であった閉鎖型住宅群の中庭で、主に夕暮れ時
驚くほどの美しい声で囀っていた。
姿を確認するとムクドリを更に黒くした地味な鳥であった。
後年、日本では聞けないものかと、バードカービングの先生に尋ねると、「黒歌鳥と言い、日本では黒ツグミが近い種類」と教えられた。
小夜鳴鳥(さよなきどり)とも呼ばれるようであるが、この囀りを聞くと、郷愁や哀愁を感ぜざるを得ない。
夕暮れ時がその想いを更に強くするのだろうか。
ここ軽井沢でもクロツグミやトラツグミなど、ツグミ亜科の鳥達の美声を聞くが、黒歌鳥の音色は別格だ。
世界一の美しい囀りと勝手に決めている。

−追記− 11/9 2012
何故かここ数年軽井沢ではクロツグミの美しい歌声を聴けなくなってしまった。理由は定かでないが、年々植生環境なども驚くほど変化している。
生育環境の変化だろうか、未だカッコーの声は時々聴くことができるが、残念でならない。
オーガスタナショナルC.Cから中継の例のメジャーゴルフトーナメントをテレビで観ていたらなんと、バックに美しい囀りが聞こえてきた。
明らかにあの黒歌鳥に違いない。アメリカにもこの鳥がいるのだろうか。

群馬の藤岡市郊外の藤が丘公園の丘陵地一帯へ行った折、谷間にクロツグミの声が響き渡っていた。
竹薮の竹の丁部にその姿も確認することができた。比較的近くで、懐かしの声が聴けるとはうれしい限りだ。
毎年春先になるとこの声を聞きたく、この場所を「クロツグミの里」と呼んで、訪れることにしている。




大白鳥〜 

歩道脇のバラ植え込みの中に営巣、卵を温めるオオハクチョウ







えるオーニング〜 


快晴で一斉に開かれるオーニング。簡単な内付けのブラインドにしないところが、おしゃれな街の景観を配慮した結果なのだろうか?
確かに、直射日光が外壁に直接当たって焼けるのを防ぐ効果は大である。










初夏の花だより




チオノドグサ 

植え込み中のガーディナーのカートに満載の勿忘草 

日本では見ないチオノドグサに似た黄花の姿

チューリップとパンジーの配色が見事


キンポウゲ科のリュウキンカの仲間か 




島のように残るキク咲きイチゲ 

シベリアンスクィルとクサソテツ 

キクザキイチゲ 

 小花の花道

 

菊咲イチゲとシベリアンスクィル


森に灯りを灯したようなフリチラリア 




薄青色の菊咲きイチゲ(アネモネブランダ) 

芝の中に咲く デンマークで愛されるデージー 
シベリアンスクィル 

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KARUIZAWA WINE ACADEMY
(欧風料理で信州ワイン&ボジョレ・ヌーボーを愉しむ)
 2、Nov.’10 秋 BY 無限

紅葉が終わり一面落ち葉の海となり、浅間山の初冠雪が山の端をくっきりと際立たせる。ボジョレヌーボーの季節到来。
信州の銘品ワインとボジョレヌーボーを愉しむ会が本年も開催され、ワイン好き、おしゃべり好きが20名ほど集う。
今年ソムリエ資格を取ったというK嬢を交え、薀蓄を聞きながら、値段と味が人気の塩沢グルメ通りの「欧風小料理無限」が賑やかな宴に包まれた。
 
       
       
ソラリス 信州シャルドネ メトッド トラディショナル ブリュット ’05 (ファースト・ヴィンテージ)

キッコーマンにより信州小諸産シャルドネ100%から造られたブラン・ド・ブラン。
シャンパン・メトッドに則って1本ずつデゴルジュマンして造られた。                                                           
 
井筒NACシャルドネ樽熟 ’08 銅賞受賞ワイン

 信州塩尻産のシャルドネ種で仕込んだフルーティーで芳醇な辛口白ワイン。
 ’05のこのワインでは最高金賞を受賞。      出荷数4,200本 
 
井筒NACカペルネ・フラン ’09 金賞受賞ワイン

 今年のJWC金賞受賞ワイン4銘柄の1本。
 日本では珍しいカベルネ・フラン種の100%のワイン。
 木苺や菫の花のニュアンスを纏った軽くて柔らかな味わい。     出荷数3,000本 
 
井筒NACカベルネ・ソービニヨン樽熟 ’08 最高金賞

  今年のJWCコンテストで最高金賞受賞。信州塩尻カベルネソービニヨン種のワインを18ヶ月間
 樽貯蔵し、熟成させ、しっかりしたタンニンと酸が骨太な味わいを醸し出している。
                                      出荷数2,116本
 
 Chドュ・シャテラール・ヴィラージュ・ヌーボー ’10

  昨年のボジョレー・ヌーボーの品評会にて最高金賞を受賞した造り手による今年の自信作。
  使用しているガメイ種のブドウは全て樹齢60年以上の古木から収穫された果実で仕込んでいる。
 
       
       
       
       
       
       
       
       
 <メニュー>
☆アミューズ(プチ前菜いろいろ)
 ・旬の野菜のピクルス ・沢庵の燻製 ・鮟鱇の肝燻製 ・生ハムとラ・フランス ・京芋の唐揚げ 
☆フォアグラのパテと自家製パン 
☆オマールと鶉ローストのサラダ、マスタード・ヴィネグレット 
☆金目鯛、ハタ、小海老の胡桃入りテリーヌ 
☆真鱈と白子のムニエル、白菜と地葱のプレゼを添えて 
☆子羊のロースト、ペルシャード アーモンド風味のジャガイモのピユーレと共に 
☆フレッシュ・チーズ
☆デザート シュークリーム
☆カフェ  
 
 

                   
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                       〜ボジョレヌボーと燻製豚肉で年忘れ〜 12/14 ’11



23年度健康と恵に感謝し、仕事仲間と皮切りとなる忘年懇親会。 
今回から強力な製造器“こぶくん”(こぶしざわの製器))参入。木加工からの副産物、地場桜材チップを大量に入れた燻製は野趣味満点。
濃厚なバジルソーススパゲティー、カマンベールチーズなどを加え、相性の良い赤ワインは早いピッチで干される。
荻窪と新宿風ラーメンで締める。
小春日和に恵まれた日差しの下、昼からほろ酔いと、満腹感の至福に浸る。

     
持ち寄りの赤ワイン  地場桜材チップで豚モモ肉や信州マスの燻製器(こぶくん)
コンパネで作成 中には1斗缶、コンロ、炭、焼き網、チップ、ホイル
360g〜380gほどの豚モモ肉塊は所要時間2時間弱でこんがりと 
生麺 ナーセリーこぶし産バジルソースにベーコンを入れて 大量に加工した
バジルソースは来期収穫まで食べなくては 美味しいカマンベールチーズ 
     
     
アーモンド、野菜サラダ、燻製豚肉     
     
     
〜 燻製器“こぶくん”〜 
<準備用具等>
1.コンロ 高さ20cm、2.1斗缶 高さ36cm底に鏨〈たがね)などで、10穴ほど開けたもの、3.炭(堅炭&消し炭50/50), 4.チップ(広葉樹)、5.フォイル、
6.厚い物を掴む箸や手袋 7.木製カバー、8.燻製材料(豚肉、魚など)、9.ホースラディシュ(収穫したものを摩り下ろすか市販のチューブ入り)、10.醤油

<木製カバー(こぶくん)>
1.コンパネ1cm厚
2.寸法 高さ71.0cm(外寸)x幅45.5cm(外寸)x奥行き47.5cm

<加工レシピ 材料豚肉の肩またはモモ網掛け肉塊 350g〜400gの場合>
1.材料に塩胡椒を満遍なく摺り込み、5時間程度置く。2.コンロに炭(2時間程度維持できる量)。 3.1斗缶の底にフォイルを敷き、チップ材〈桜)を3掴みほど入れる。
4.着火材で火をおこす。 5.缶の上に焼き網を載せ、油落としの小さな穴を開けたフォイルをのせる。 6.その上に薫材を載せ、カバーで覆う。
7.セットして1時間ほどしたら薫材を裏返す。 8.更に40〜50分で火を落とし、自然に冷まして完成。

食する時は網を取るのが大変であるが、事前に取るか、ある程度の厚さにスライスする場合はスライスしてから取るのが簡単(薄い場合は小さな切り片となり取り難い)
燻製は冷蔵庫で1週間程度は保存可能であるが、出来上がりの熱いうちは特に美味。保存し堅くなったものはチャーハンに入れるのがおすすめ。
     
 コンパネで作成したカバーに豚と文字の切り抜き 下からコンロ台、コンロ、金網、一斗缶、焼き網、ホイル、薫材   市販の豚網掛け肩肉 塩胡椒を摺り込む
     
     
  こんがりと焼きあがった豚肩網掛け肉  冷ます過程で汁が出るので、
暫く置いてから包むなり保存する
 
     
     
     
     
     
 

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フインランド・トゥルク市
ブラーへ・チェクナル Brahe Djaknar オーボ・アカデミー大学男声合唱団コンサート
2012年9月1日 場所小海町音楽堂 ヤルヴィーホール 小海町長湖畔
協力 小海フインランド協会
 
   
     
   
       
ブラーへ・チェクナル(Brahe Djaknar)はフインランド、トゥルク市にあるオーボ・アカデミー大学において1937年に創立された合唱団です。現在、団員50人で活動しており、
そのほとんどはオーボ・アカデミー大学の学生です。

当合唱団は数々の国際合唱コンクールへの参加を果たし、最近では2009年にフインランド、タンペレ市で開催された国際合唱祭ににて見事金賞受賞を成し遂げました。
また、フインランド国内にとどまらず海外にも意欲的に活動の幅を広げており、最近ではオーストリア、イタリア、アメリカ、北欧にて、コンサートを行なっています。

そして今年、合唱団創立75周年記念の重要な年に8月27日から9月11日にかけて日本での公演ツアーを果たすことができました。

東京を皮切りに、小海町の後、名古屋市、京都市、大阪と巡ります。
 

     
幕間にロビーに準備された小粒で酸味の強いストロベリー  小海高原美術館内レストラン花豆での歓迎懇親会 
       
     
       
       
     
歓迎懇親会中でも何時ともなく合唱団の歌声がわきあがり五臓六腑に響きわたる 
       
     
安藤忠雄作品を望む塔屋前に焚かれた歓迎コッコ    指揮者ウルフ・ロンバッカ氏の御礼挨拶 
       
       

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   1200821_コペンハーゲン建築リスト+map(low).pdf へのリンク
 


いつも美しいルイスポールセン社のデンマークにおける照明シーンを届けて頂いているルイスポールセンジャパンの照明コンサルタントでもある高橋亜須未様から今回は、
新旧のデンマーク建築を堪能できる“コペンハーゲンのお勧め建築リスト”が届きました。

上記リンクをクリックしご覧下さい。

                         
                                             wwwlouispoulsen.com
 


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    Design in Wood Symposium 2012 +
  
フインランド/建築、デザインから見る
  木の可能性。

 
 <ゲスト>
 ・シモ・ヘイツキラ Simo Heikkila(デザイナー)

 ・ベッカ・ヘイツキネン Pekka Heikkinen
  (建築家・アアルト大学教授)

 ・川上元美 Motomi Kawakami(デザイナー)

 ・益子義弘 Yoshihiro Mashiko
  (建築家・東京芸大名誉教授)
       
 Simo Heikkila
マリメッコ社を経て、1971年インテリアデザイン
会社を設立。
アアルト大学木造スタジオ・家具デザインの教授を務め、
3年毎に開催されるアルバ・アアルトデザインセミナーを率いる。
スカンジナビアの伝統的なデザイン特性を持ちつつ、
人間工学に基づいた視覚的なストラクチャーと質感など
独自性のあるデザインで知られる。
WWW.Periferiadesign.fi
 Pekka Heikkinen
建築設計事務所6B主宰。
アアルト大学建築デザイン学部木構造建築教授
2000年からアアルト大学にて「インターナショナル・
ウッド・プログラム」のディレクターを務める。
WWW.arukkitehtuuri.tkk.fi
 
 Motomi Kawakami
1971年川上デザインルーム設立、現在に至る。
東京芸大、金沢美術工芸大、多摩美術大の客員教授を歴任。
プロダクト、インテリア、環境デザインなどにたずさわり、
ヒューマンなものづくり、環境作りを心がけている。
また、各地の地場産業や人材育成にも従事する。
WWW. Motomi Kawakami


 
 Yoshihiro Masuko
1976年にM&N設計室を設立。
1984年東京芸大美術学部助教授を経て、2007年同大名誉教授。
2007年より益子アトリエ主宰。
「アルバ・アアルト住宅展」〈2005年)、
「吉村順三建築展」(2005年)
等の実行委員長を務めた。
主な作品
新座の家・2007年(日本建築家協会25年章)
シャノアール研修センター・2011年(日本建築学会作品選賞)
HOTELLI aalto
軽井沢南が丘の山荘

 
 

文化芸術を通して木の活用を学ぶシンポジウム。

この美術館では、1991年の開館以来、様々なアートの形を提唱し、芸術の交流・発信の拠点として活動をしている。

より多くの人が「建築」を思考し、芸術に触れる機会を設け、「建築」を様々な視点や角度から捉えた定期的な勉強会を開催している。

今回は木の文化、芸術に豊かなデザイン感性を持つフインランドのデザイナー、建築家を招き「フインランド/建築デザインから見る木の可能性。」
をテーマに意見交換がされた。

長野県に多く、特にここ軽井沢高原の心象風景とも言えるカラマツを素材にデザインを公募し、森林を環境そして資源として意識して活用していく
ことを発信する脇田美術館の「「木のデザイン」プロジェクトの一環である。

座学の後、館とアトリエ山荘に囲まれ、こぶしの大木を抱く中庭で懇談会が開かれ150名程の参加者の談笑光景が見られた。
また、アトリエ山荘が参加者受付順に公開された。
このアトリエ山荘は、1970年に脇田和の友人である吉村順三の設計により建てられた、日本のモダニズム建築として知られる。
 

    シモ・ヘイツキラ氏   川上元美氏
       
ペッカ・ヘイツキネン氏  益子義弘氏 館近くの南が丘に氏が設計した“南が丘の山荘”の解説は特には興味を惹かれた 別途末尾に紹介 
       
       
益子氏は吉村順三先生ゆずりの木造の名手 自邸である“新座の家I 自然に帰る家” 自然を心として、建築の中に取り込む手法はここ軽井沢でも静かな佇まいを見せる 
       
       
益子義弘氏の講義の中で特に興味を惹かれた“南が丘の山荘”  
                              設計 益子義弘/益子アトリエ
                                                施工 佐久市 〈株)木内工務店
 
     

益子氏は、本シンポジウムに先立ち、会場にほど近い南が丘にご自分が手掛けた山荘へフインランドのゲストスピーカー達を案内されたと言う。
設計を依頼されるにあたり、お施主さんから、「静かな森の中に一脚の椅子が佇むが如く」?(正確ではないがこんな趣旨のお話をされた。)
との要望が出されたと言う。
唐松林の中に佇む単純な矩形。

フインランドのデザイナー達の印象は「節が無く繊細な部材はフインランドではとても考えられない」と、驚きの声が聞かれたと言う。

講義の後、参加者からこれに関連する興味深い質問が出され、フインランドの状況が紹介された。
Q. 日本では節を嫌うので、古くから「枝打ち」と言う作業を行なう。フインランドではこれにあたる言葉はあるか、またその種の作業は行なっているか。?
A.「枝打ち」にあたる言葉はあるが、実際の作業は行なっていない。節はむしろ自然の素材感から嫌ってはいない。

益子氏の“南が丘の山荘”を見たフインランドのデザイナー達の部材についての印象が、この回答に符合する。 
     
     
     
     

〜こぶしの大樹を抱く中庭での懇親パーティー〜

料理の盛の美しさに感嘆。館外のアートを鑑賞しているよう。 


 
       
  各種チーズと自家製“おだんごパン”
イギリスパンの生地で焼かれた丸型のパン
絵本そっくりの顔が焼印で 
  フレッシュな葡萄とミニトマトが蔓手編篭に盛られ
アーティステックな一品に!!  
       
       
  長野県産の大粒プルーンがみずみずしさを!!    蔓編み篭にモミジの緑を 紅葉を盛り込むのも間近
       
       
    脇田愛二郎作鉄のオブジェを入れて   
       
       
吉村作品の専売 デッキにオープン暖炉   
       

 
 
 〜美術館本館内 常設展示作品〜

 
 
       
       
  以前から気になっていたヨーロッパの木製アンテーク人形が館内に飾られる  脇田和の二男脇田愛次郎(1942〜2006)の鉄のオブジェ
が外入口アプローチと入って直ぐに 
 






     
   
〜画家脇田和のアトリエ山荘〜 
 
 

 軽井沢の山荘B 1970−
地下水の水位が高く、湿気の多い土地のためすべての室を2階にとっている。そのために
広々とした眺望とプライバシーを持つことが出来た。
自然の木立ちの配置に内外の空間が溶け込むように変形のプラントなっている。
一年中住める家として、温風吹き出し床暖房としているが、軽井沢の寒い冬も快適である。

延床面積 219.2u(1階 51.5u、2階167.7u)
屋根/亜鉛鍍鉄板 外壁/杉 天井/唐松 壁/漆喰 床/カーペット敷込み
温風吹出し床暖房、給湯
                           
吉村順三作品集 株式会社新建築社より


古書の部類ながら、住宅建築設計例集・2 山荘・別荘75選 発行昭和53年3月1日 
編者建築思潮研究所にも
“30 軽井沢の画家の家 設計:吉村順三 施工:土屋工務店”として、
取上げられている。 

 



ここはアーティストのおもちゃ箱。小さくて雅味溢れるアーテスティックな小物達が遊ぶ。
気に入って買い集めたものや、手製のもの。

画家と建物を手掛けた吉村は同じ“新制作協会”の重鎮、ドイツに学んだ脇田は絵のみならず、多様なアートに興味を注いだ。
画家とかたや建築家の趣向は相通じるものがあったのだろう。自分の城を吉村に任せたのであろう。
軽井沢二手橋の吉村の自邸“珠玉の山荘小さな森の家”のアーティステックな遺品の小物達が何故かここのものと兄弟姉妹のように思われる。

 
       
脇田画伯の書斎蔵書  大きなイーゼルが二つ 夥しい数の画材が画伯の在りし日を偲ばせる パレットに残された絵の具がコンテンポラリーアートのよう 
       
       
       
       
       
  吉村順三作品集1941〜1978の表紙を飾ったペンダントとレンジフード ペンダントは脇田が荷紐を貼り合わせたシェードと鉄工所で作らせた溶接痕も生々しい手作り
レンジフードは一見判別の付かないシンプルな木製テイスト吉村作風を感じさせる 
       
       
       
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建築士ネットワーク 佐久2012 文化講演会 10/28 2012 於 佐久グランドホテル
「先人に学ぶ・匠の技」

技術研修会: 
武士の住まいと士官官舎〜そして現代へ 講師 文化庁認定上級技術者 永川強氏

文化講演会: 
民家の今後はどうあるべきか (株)降幡建築設計事務所 降幡廣信氏
 

永川氏の切り口は非常に興味深い。2年前にもこの会で「木と鉄と日本文化」と題して講演を頂いたと言う。
曲がりなりにも、再生ビジネスを掲げ、かねてより降幡氏の話を聞きたいとの思いから、ここは氏の話しのみ紹介させて頂く。



−民家の今後はどうあるべきか=民家再生−
  


民家再生をライフワークとしている民家再生の顔 降幡廣信氏 83歳とは見えない元気な姿で熱弁、司会から2度も時間ですと促され、
予定を40分オーバーしてまだ語り足りないとの表情。

名匠村野藤吾(1891〜1984)を引き合いに情熱を語る。村野は、90歳を超えても創作意欲は落ちず93歳で亡くなる前日まで仕事をしていたと言う。
驚くことに、60歳までと60から93歳までの手掛けた作品がほぼ同じと言う。
降幡氏も村野藤吾を超える94歳現役を目標にしていると言う。この元気さからは成し得る可能性大とお見受けした。

氏が再生を手掛け、中でも氏が民家再生と言うビジネスをライフワークと心に決めた案件がある。話の中で感慨深げに語られ、強く印象に残る話であった。
1982年12月に完成した松本神田の「草間邸」がそれだ。
ここは氏の著書「民家の再生 降旗廣信の仕事」の中でも月刊住宅建築の編集長立松氏が「民家再生への系譜−降幡廣信さんの人となり−」を寄稿、
述べられているので、その一文をご紹介したい。

「この家との出会いには、ちょっとした枕がある。当時、設計事務所の所員だった一柳邦子(旧姓星野)さんは、民家の調査を担当していた。
ある日、彼女が信州でも由緒ある家柄の草間家を調べて報告し、降幡さんに言った。
「もし、所長が良心ある建築家ならば、草間さんの家を見殺しにはできないはずです。」と、「どんな状態なの。」「まあ行ってご覧なさい。」
私も再生前の草間家を訪れる機会があった。
大屋根は傾き朽ちてくずれ落ち、所々に青いビニールシートがかかって見る影もない。大戸から土間に入ると真っ暗で、その暗がりの中を恐るおそる中に進むと、
オエがあり畳があげられ、雨漏りのため用意したバケツや洗面器などが到るところに散らばっている。
それを避けながら懐中電灯の光をたよりに手探りでゆくと、(かみ)オエの12畳半を屏風や茶箪笥で囲った中に、ご当主の老夫婦が二人で炬燵に入っている。
という惨状であった。
「草間家は、民家再生の診断でいうと、医者の出る幕はすでになく、もう坊主の出番だった。私は、この家を手掛けたお陰で、その後、どんな難しい再生の仕事に
出会っても、驚かなくなった」と、後日、降幡さんは述懐している。肝っ玉が座ったのである。

オエとは、囲炉裏が切ってある居間的空間のこと。
一柳(旧姓星野)嬢については群馬県桐生市の人で、大阪市立大の持田教授の紹介で、26歳で就職して来たと言う。
氏の講演のなかでは、「もし、所長が良心のある建築家ならば、草間さんの家を見殺しにはできないはずです。」の件(くだり)は、捨て台詞と紹介された。
上州女の意気の良さを感じさせてくれる。語気の強い上州人の言葉が捨て台詞に感じたのであろう。

 
   
 
 
   
民家再生の熱弁をふるう降幡氏  講演後挨拶をされる左降幡、右永川の両氏 
   
−降幡氏講演余話−

折りしも私自身の関与で、畳の選定で迷ったため特に印象に強く残った畳に纏わる話があった。
氏が手がけられた奥飛騨温泉郷の松宝苑の女将が最近氏に語ったお話し。
女将は畳を入れ替えるのに、磨耗に強く、色褪せない点から和紙製の畳にしたと言う。
ある女性客から「最近はこの畳がかなり普及していますね。お宅でもこれにしたのですか。」と言われ驚いたと言う。
この女性は、畳と縁深い茶道をやられ、畳には一入感心を持ち、すぐに紙の畳であることを見分けたのであろうと。

やはり本イグサの畳はほのぼのとした温かさを感じ、経年変化で言い知れぬ上品さを醸す点で、紙畳とは異なる。
氏の持論は、縄文時代から竪穴式住居の土間に草が敷かれ、イグサのルーツが連綿と今に繋がれている。
草の中からイグサが選ばれ、その優れた良さが古代から選別され今に繋がり、イグサをすすめる不動の根拠がある。
 
 
 
 降幡廣信 プロフィール
 1929年長野県生まれ
 1961年家業山共建設(株)を継承(三代目)現会長
 1963年(株)降幡建築設計事務所設立 同所長現在に至る
 1990年民家再生の方法論確立による業績で日本建築学会賞受賞
 全国にて建築賞、景観賞等多数受賞 計58件(平成24年4月現在)

著書 「民家の再生 降幡廣信の仕事」 建築資料研究会
    「民家再生の設計手法」 彰国社
    「古民家再生ものがたり」 晶文社
    「民家再生の実践」  彰国社
    ほか多数

アトリエ 長野県南安曇郡三郷村大字温
      0263−77−3163,5611
 





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