ホーム >> ブック >> ブックリスト2 >> 読書感想 >> No.191〜200
「ドワーフ」ということばにひかれました。
手にとってみて、日本の人が描いた絵本かぁ…、それに創作、と思ったんだけど、読んでみることにしました。
ドワーフじいさんのつくる家の絵が、とても緻密で、どうしてこういう構造が描けるの? と思ったけど、 作者の青山さんは、建築をやっていたかたみたいでした。だから描けるんだー、あんなややこしい構造の家の柱が。
ドワーフじいさんの図面がどんどん修正されていくのに、上に紙をはって書き直しているのが面白い。
「世界民話の旅」
シリーズの1です。
監修(責任編集委員)の中に、[161]『ないた赤おに』の浜田廣介さんの名前がありました。
それから、著者の矢崎源九郎さん、名前を聞いたことがあると思っていたら、ポール・アザールの[20]『本・子ども・大人』の訳(共訳)されている人だった。
民話だけでなく、北欧の神話も入っていて、またドイツの伝説として「不死身の勇者(ニーベルンゲン物語)」が入っていたのがよかった。
あと、ドイツの民話の中で、「おばあさんのまごごろ」、これは、わたしはたしか、アンデルセンの童話として読んだお話と同じような話だった。(参考:[94]『アンデルセン童話全集3』) 星野慎一さんは、解説の中で、チリ地震津波の時半鐘を鳴らして知らせた東北のあるおじいさんを思い出したと書いていますが、そういう人がいらしたのですね。私はアンデルセンで読んだとき、「稲むらの火」の話を思い出しました。
ノルウェーの民話では、「太陽の東、月の西」も入っていました。
(参考:[131]『ノルウェーの昔話』)
矢崎さんの解説の中には、エッダとサガのこともあった。
「勇士ボズワルとロルフ王」としてこの本に挙がっている、「ロルフ・クラキのサガ」。 他にもボズワルのことがかかれているエッダやサガがあるそうですが、
「ボズワルがロルフ王のもとにむかえられるこのお話は、」
とあるのは、「ロルフ・クラキのサガ」のこと、だろうか?
「イギリスにつたわる古い詩「ベーオウルフ」のなかのお話と、たいへん似ています。」
(p.342)
とあった。
「勇士ボズワルとロルフ王」を読むと、ベーオウルフほど、深刻なお話ではなかったようだけど…。 (参考:[22]『ベオウルフ』)
「ラグナル・ロドブロクのサガ」からとったという、「ラグナルの竜たいじ」には竜がでてきました。
「アイルランドのむかしばなし」
とあります。
デ・パオラのとくいな、昔話の再話(アレンジも加わっているのかな?)。
デ・パオラのおじいさんはアイルランド人だそうで、この絵本の最初の「このおはなしについて」
のところで、おじいさんからむかしばなしを話してもらった頃のことが書かれてあります。*
この絵本は、絵がらも明るく、おもしろおかしい雰囲気がでています。デ・パオラには[189]『ドロミテの王子』や[133]『神の道化師』のように、真剣で美しい絵本もありますね。
なまけもののジェイミー・オルークはおかみさんがねこんでしまったために、イモほりをしなければならないはめになりますが…。
「きょうかいのオマリーしんぷさん」
が、村人たちにまじって顔をだしているのが目につきますね。
はてさて、さいごはどうなることでしょう? さいごの一ページのレプラコーンの絵は、オチになってるみたいでおもしろい。
(追記)
(参考:[239]『ジェイミー・オルークとなぞのプーカ』を後日読む。)
(追記)
*(参考:[288]『トム』を後日読む。)
ちいさいおうじょさまのセサレットがかわいいです。水色の服、おかっぱあたまにちょこんと冠をつけて。
クマは びっくりして くしゃみをしたのです。
あいくるしくて かわいい セサレットが
もりの なかに そっと うつくしく たっていたからです。
クマは おうじょさまを みたことがなかったのです。
ツグミの歌をきいて木を見上げているおうさまが、うんと背伸びをして、杖を切り株につけているさまがおもしろい。
あと、気に入った絵は、へいを乗り越えるおうさまにおうじょさまが肩車してもらっているところ。
[181]『王子ヤンと風のおおかみ』の「世界のむかし話」シリーズの3です。今度は、チェコ・スロバキアのお話。
「十二月(じゅうにつき)」
「おそろしいクラトコ」
「森の精」
「羊飼いの花束」
「黄金(きん)の髪の毛」
の5話が入っています。
絵の、トリーナ=シャルト=ハイマンという人は、はじめてききました。絵がかわいらしいです。
「森の精」の話の、女の子ベツーシュカが糸まき棒をもっていなかったので、亜麻をあたまに巻いてヤギを追っていく絵。そして、森の精の美しい女の人とおどっているところの絵もいいし。
人物の線は繊細で、ちょっと少女まんがふうでもある? 「羊飼いの花束」の話の、王子は、あごがごっついけど…。(でも背が高いところはいい) お姫さまの服も民族ふうで、かわいいです。
これも、[149]『絵本だいすき!』で知りました。
なんとなーく、うすぎたないようなメンバー。絵も。
自分がみじめったらしい気がして落ち込んだ時に、読んでみたらいいかも。
サクソホーンがふけるハイエナは、わりとかっこいい。スーツ着てるし。ハイエナにしては、ハングリーぽくなくて間のぬけた顔してる? でも気がやさしい。
ほっぺを真っ赤にして、得意げなヒキガエルのように、「わたしはね、パンケーキがやけるの!」(p.16)
と言えるものがあればいいですね。
ちゅうごくせいのちょうちんがあったり、ヒキガエルは、着物ふうのものをきているし、エァルブルッフは東洋通なのだろうか?
「 だれもやってこないのは、じぶんのせいなのだと、
みんながおもいました。」(p.24)
そして、
「 あいそうよく、とびまわったつもりだったけれど、やっぱりみんなをこわがらせてしまったんだと、」 (p.24)
考えてしまうコウモリ。その気持ち、わかるな。 コウモリのようにみんな、<あいそうよく>がんばったんだよね。せつないね。
そこでみんなは、でも、くさらなかった。
「どうってことないさ」
「おれたちには、おんがくがある。パンケーキがある。
それに、おれたちがいるもんね」
エルサ・ベスコフの絵本です。
アンデルセンは、全集を読んでいたけれど、途中の巻で止まっている。読んだ中に、おやゆびひめはあったかな? というか、おやゆびひめって、アンデルセンだったんだ…。
文はアンデルセンのものそのままなのかどうかわからない。でも、おやゆびひめの話のストーリーを、ちゃんと読めたのはよかった。
野ネズミのおばあさんは、泊めてくれたのは親切だけど、その親切がどこかずれていく。んー、これが親切、とは思えなくなってくる。
おやゆびひめが歌った歌、『とべ、とべ、コガネムシ!』
と、『修道士は草原をゆく』
。実際にある歌なのでしょうか? どんな歌でしょう。
さいご、おやゆびひめが背中につけてもらう羽は、白いハエのものだったんですか…。
「ツバメは円柱の上の巣へもどり、みんなのために心をこめて歌をうたいましたが、心のなかは悲しみでいっぱいでした。ツバメもおやゆびひめが大好きで、いつまでもいっしょにいたかったからです。」
ここは、アンデルセン自身のことを思いました。
太田大八さんて、[85]『百合若大臣』の絵の人…? 『百合若大臣』のときは、わりと写実的な筆使いの絵がらだったように覚えているんだけど、今度のは、特に表紙なんかコロっとしたかわいい絵がらでした。
スペインの話の「はんぺらひよこ」。これは、[168]『四人のきょうだい』にも入っていた。
イギリスの「ねこの大王」、これは、ジェイコブズの[75]『ジャックと豆のつる イギリス民話選』にも入っていたかな? スウェーデンの「くぎスープ」*。おばあさんはやどなしに、くぎ一本でスープができると言いくるめられて、粉やらミルクやら使わされちゃう。話も面白いし、ひねって読むと、小さいしあわせってこういうところにあるのかも?という意味で気づかされたりして。ロシアの「だれがいちばん大きいか」。この話は、はじめて読んだかも。ふうがわりですね。真面目に考えだすとわからなくなる。
瀬田さんの「解説」。この本に収められているのは、短くて優しいお話。その共通点は、ひとつには「グルグル話」だということ。
「数とり唄のように順序よく、きもちのいいリズムをおこして次々にグルグルと動いていくお話です。そして、こういう形のお話は、単純な形のくりかえしのおもしろさで、一度きくと忘れにくいものです。」
(p.158)
(追記)
*(参考:マーシャ・ブラウンの[296]『せかい1おいしいスープ』)
これも、落合恵子さんの[149]「絵本だいすき!」で知りました。
ふたつの国の間の、「どうして始まったのか、だれもおぼえてい」
ない長い戦争。
表紙の王子の視線、木に登って枝にすわって、じっと見ている目がインパクトあります。
「兵士たちが、ふたたび戦争を始めるのが見えます。
なんとかしなければ。そう思ったファビアンは、手紙を二通書きました。」
その前の、やはり木に登っている後ろ姿のファビアンの絵も、気になります。
作者のアナイス・ヴォージュラードは1973年生まれということです。今まで読んできた絵本は、名作といわれたり昔からあるものが多かったけれど、今度は、若い世代の絵本を読みました。
赤の国、青の国の部屋の色合いなど、デザイン的にも現代的な感じがします。
ファビアンは、どんなふうにして戦争をおわらせたでしょうか?
黄色の国の王が涙を流したところの描写が心に残ります。
「ファビアンが王様だったとき、」
とあるけれど、それからもずっと平和が続くことを願います。
[186]『ロバのシルベスターとまほうの小石』の、ウィリアム・スタイグです。
う〜ん、これはあんまり面白くなかった…。
やはりロバ(エベネザーじいさん)がでてきました。
原題は語呂があっているのでしょうか? 「Farmer Palmer's Wagon Ride」
。ファーマー・パーマー、って。
そのおひゃくしょうのパーマーさんは、ブタでした。
文章には、最初、パーマーさんとあるだけでブタって書いていないのですけど、(太ったおくさん、太った長男、太った長女、太った次男、太った自分、と、全部に太ったと付いているのがおもしろい。)倒れてきた木を切るパーマーさんを、じいさんが写真に撮るところで、
「おのをふるっているブタのすがたを写しました」
とあります。
「パーマーさん」
と書いているところもあり、「ブタさん」
となるところもあります。
じいさんのことばは、<サムことば>になっているな〜と思いました。(参考:瀬田貞二さんの本[172]『航路をひらいた人々』の感想)
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