ホーム >> ブック >> ブックリスト2 >> 読書感想 >> No.301〜310
「メルヘンハウス」(ウェブサイトはこちら)の「ブッククラブ」のチラシを見ていたら、書名は紹介されていなかったんだけど、本の表紙が載っていて、この本は知らないなあ…と、その小さい表紙をじーっとみていると、どうもこれは…。
「時」とあるのと、この絵は…。
もしかすると時をあつかった本なのかもしれない、と読んでみました。 (参考記事:[257]『思い出のマーニー』))
太田大八さんの表紙が、いいですね。
内容も、こんな発想をする人がいるんですね。視点はとてもいいと思います。
文章がちょっと不安定なところがあったりするかな、と、私自身は思いました。
まずまず、おもしろかったです。
こどもの頃、この絵本を見て、この、いちごばたけのおばあさんにあこがれた。
いちごに赤い色を塗るしごとに、あこがれて、こんなふうに塗ってみたい、こんなおばあさんになってみたい、と思っていたと思う。
大人になって、この絵本があるということも知って、今になって、再び読めました。
わたりむつこさんて、『はなはなみんみ物語』の人ですね。
まっかなバックに、花をくわえた牛の絵。インパクトのある表紙です。有名な絵本ですよね? はじめて読みました。
ひらくと、表紙裏の黄色い紙に、
「大闘牛
フェルジナンド
チョコレート・キャラメル・ホットドッグ」
の文字に鼻息荒い牛の絵が目をひきます。
ポスターでしょうか。子どもたちが指差しています。迫力ある大文字の「大闘牛」の文字とか、原書でみてみたいものです。(チョコレートうんぬんいうのは、何でしょう。スポンサー?)
本文は
からはじまります。「むかし――
すぺいんに、」
この字が真っ黒じゃなくて、少し茶色いような色がついている。
絵がまた、いいです。
景色や遠景は、写実的で風格あり、[237]『ドン・キホーテ』の世界に迷いこんだ感じもして。
いざ、子牛や人物の場面は、子牛はかわいらしいけれど、絵がら自体は黒で、男たちの顔なんか、ハードボイルドかも。
少し、バージニア・リー・バートンの[202]『名馬キャリコ』を思い出しました。
コミック的な表現も、感じます。
蜂がさすところなんか、刺す場面をみせなくて、それがわかる。 表情も面白い。おや?というときや、驚いたときに顔もまわりにちょんちょんと線があったりするの、コミックみたいですね。
あれえ?と思ったのが、コルクの木。木にさがっているものを見てください。ほんとはこんなはずないですよね!?
『風が吹くとき』が見当たりませんでした。(ブログの、参考記事:アニメ映画『風が吹くとき』)
『スノーマン』があったから、こちらにしました。
台詞が全然ありません。ブリッグズの絵本、ひらいたことくらいはあったと思うけど、ちゃんとははじめて。
あとで気づいたけど、『ゆきだるま』という邦題のもの、なかったっけ? どうも、内容はおなじだけど、こちらが愛蔵版、みたいな感じのようです。
まず思ったのは、ゆきだるまの形状が、日本と違う。日本だと、丸い玉を2つくっつけるけど、下が丸くなくて、長くつくってある。
少年が、そーっと食卓から取って、ゆきだるまの鼻にくっつけたのは、一瞬みかんかとおもったけど、みかんじゃないだろうな…。パンかな。
夜中、「やあ」って感じのスノーマン。
少年と家に入って、あちこちさわったり遊びます。電気をつけたり消したり。電気スタンドのところ、少年はなんでおこっているの? 車庫にある、大きな箱は何?どうして光がでているの?
なんてわからないところもありますが、圧巻はやはり飛んでるところです。
映像になったのもありましたよね? 音楽がきれいなの、聞き覚えあります。
夏、この季節。
戦争と平和の本の特集。去年(?)こんなのがあるんだと知った本。瀬田貞二さんの訳だし、読んでみた。
うーん…。ちょっとわかりにくい…。
ライオン王の国は、かわいて、何も実らなくなりました。となりぐにには食べ物がどっさりあります。ライオン王は、となりの国に、お願いしにいくことになります。
そのライオン王は、すごく細くて、甲冑を着ているのが、[237]『ドン・キホーテ』を思い出してしまいました。長いたてがみで、憂いをおびた表情で座って、考えているライオン王。
「たべもの大じん」と二人で、となりの国にいくのですが、なぜか自転車で行きます。「たべもの大じん」は小柄なので、サンチョ・パンサみたいにも見えます。
となりの国に近づくと、山々が見えてきますが、それが、ケーキとかお菓子なのです。それがとてもリアルな絵なので、異様な感じです。写真のコラージュかとも思ったのですが、絵で描いてあるのでしょうか。
となりの王はとても太り、お願いしても話が通じません。
このとなりの王や家来は、人間のようですね。ライオン王の国びとは、動物たちのようです。
ライオン王が、たべもの大じんに、昔自分たちの国が広くて、獣たちがいた森などのことを語った、ということから、何か、動物・自然とその破壊、未来像、人間のおろかさとか、自然と人間の対立とか、いろいろテーマは見つかりそうです。でも、そうなのでしょうか。フォアマンが言いたかったことが、 いまひとつつかめない気がしました。
結果的に、意図しなかったことが起こります。その絵は美しい。
平和の大切さをえがいているのはわかるのですが、ちょっとつかみどころがないような、風変わりな絵本のように思いました。
ライオン王の長い槍の先についている旗のしるし、ハートマークでした。
「ヴァージニア・リー・バートン生誕100周年記念」
ということで、特集です!
絵本[218]『ちいさいおうち』や、作者バージニア・リー・バートンが暮らした村のことがきれいな写真で載っている、魅力ある特集でした。
[216]『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』 の訳者、宮城正枝さんの文も載っていました。バートンの描くおうちや、スチームショベルたちはみんな女性。そういうことについても、書かれていました。
えっ、[202]『名馬キャリコ』のキャリコも女の子だったのか…。それは知りませんでした。(読んでたときは彼女、ってでてたのかもしれないけど、もう忘れてます…。)
『ちいさいおうち』にえがかれた、「her story」という言葉の持つ意味。考えさせられますね。
バートンが活動した、デザインの「フォリーコーブ・デザイナーズ」のことが載っていたのが良かったです。
バートンの本の紹介のリストでは、『Song of Robin Hood』が載っていたのが嬉しい。原書、「品切れ」って書いていました。日本で邦訳されないかなあ…。 これ、バートンがイラストを描いているんですけど、絵がとても緻密で。(『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』の本で知りました)
その他、バートンのほかに、アメリカ絵本の黄金期を支えた人たちの絵本が載っています。お、マックロスキーもそうなんですね。
またこちらも参考に読んでみたいです。この特集見ているだけでも楽しいです。
[296]『せかい1 おいしいスープ』、『くぎスープ』のお話と似てる!
(参考:くぎスープ:[193]『世界のむかしばなし』)
舞台は中国。
中国にも同じ話があるのだろうか?と思って読んでみたら、訳者あとがきにこうありました。著者のジョン・J・ミュースさんが、ヨーロッパに伝わっているお話を、中国にうつしかえたんだそうです。(ちょっと残念…)
でも、韓国やフィリピンにも似た話がある、とも書いていました。 それはわかってよかったです。
さて、ジョンさんの書く絵はとても東洋的。とってもきれいです。
あわくにじんだような景色。瓦屋根の建物。そして人びとの表情。アメリカ出身の人ですが、東洋に造詣が深い人なのだそうです。
ホク、ロク、ソーというお坊さんが旅の途中で立ち寄った村。一番若いお坊さんのホクがかわいい。まだ少年みたいですね。
一番かしこいソーは、豊かな表情をしたおじいさんのお坊さん。疲れて、幸せを知らない村人に、石からスープをつくることを教えようというのです。
お話の筋はほとんど『せかい1おいしいスープ』と似ているように思います。楽しい食事会の宴があるところも。
ヨーロッパのほうの元話は、最後はほろっとしながらも、ちょっぴりいたずらめいた、面白さがあります。のせられたほうも、最後まで、ある意味だまされたということに気づいていないような部分もあったと思う。(特に『くぎスープ』。)記憶で書いていますが…。
でもこちらは、お坊さんの教えという枠があるので、さわやかな気持ちになりながらも、面白みよりも講話的になっているところがあると思う。
黄色い衣を着た女の子といつも一緒にいる黒猫が、たくさんのページにみつかりますよ。
岩波書店の新刊から。
広告を見て、これは、もしかしたら「おだんごパン」系統のお話ではないだろうか? と思いました。
(参考:[56]『ころころパンケーキ』、[88]『太陽の東 月の西』、[61]『パンはころころ ロシアのものがたり』、[62]『おだんごぱん』、[63]『ころころころパン』、[66]『しょうがパンぼうや』、[75] 『ジャックと豆のつる イギリス民話選』)
読んでみると、基本的にはそうでした。
「おいらは ころがる かたやきパン!
ころがる おいらを つかまえて、
たべられるもんなら たべてごらん!」(p.24)
でも、ルース・ソーヤーの独自の変更が入っているのでしょうか? 基本をふまえながらも、まったく新しいお話になっているようです!
とんがりやまの、メリーおばあさんとグランブルおじいさんの丸太小屋に、ジョニーという手伝いの男の子がいます。あるとき、にわとりや羊がきつねやおおかみにさらわれて、食べ物もなくなった小屋の暮らし。ジョニーはこの家をでなければなりません。少しの荷物と、おばあさんがいつも焼いてくれたかたやきパンを袋につめて、出て行くジョニーですが…。
マックロスキーの絵がすばらしい。人の体のデッサンに、動きがあって、躍動的で楽しさが加わっているかんじ。
マックロスキーって、『ゆかいなホーマーくん』の人なんですね。(ドーナツのところ、なんとなく覚えている…) 後ろの著者等の紹介のページ見ていたら、マックロスキーの奥さんがルース・ソーヤーの娘、なんだそうです。
で、どんな話になってるかというと、それはお楽しみ。
こんなラストが待っているなんて、とっても素敵。基本形のお話では、少々いやみなところもある「ころがるパン」君ですが、なんだかプレゼントをしてくれたみたい。
『アンデルセン童話全集』のどの巻かを読んでいるとき、『ウズ・ルジアダス』のことをはじめて知りました。
(参考:『アンデルセン童話全集』(物語の項へ))
ヴァスコ・ダ・ガマのことを書いた、叙事詩らしいということだった。アンデルセンがとても褒めていたか、感銘を受けたか、何かそういう事が書いてあったように思う。いつか読みたいと心にとめていました。
瀬田貞二さんの[172]『航路をひらいた人びと』や、
山室静さんの[152]『バイキング王物語』などで、航海の本を読んだり、
テレビでクック船長のエンデバー号を再現した航海の番組を見たり(参考:ブログの感想)して、航海のことを読んだり見たりしてきた。
(他にも、[235]『ピーター・パンとウェンディ』とか、映画『ヴァイキング』(参考:ブログの感想)とか、船に関係あるといえばそうですね。)
そしてこのところ、帆船の映画
(『戦艦バウンティ号の叛乱』(参考:ブログの感想)、『マスター・アンド・コマンダー』(参考:ブログの感想))
を見たりしていたし、そろそろ読みたいなと。
「世界ふしぎ発見」でマカオが特集されたとき、
「カモンエス広場」と言っていた。
今だな、と思い切って読みました。
「ここに地終わり(地果て)、海始まる」
という言葉をごぞんじですか?
わたしは知りませんでした。ポルトガルのロカ岬という、ユーラシア大陸最西端の岬にその石碑があり、有名なんですって。『ウズ・ルジアダス』の中の一節です。
『ウズ・ルジアダス』のことを調べているうちに、「山梨県立図書館」のレファレンスのページ(http://www.lib.pref.yamanashi.jp/cgi-bin/refjirei/refs.cgi?c=common&n=8)をみつけたりして、ロカ岬や石碑のことをしりました。ロカ岬と、この言葉は、けっこう有名みたいですね。
また、他に、高倉健さんが、著作でロカ岬のことを書いているとか…? 今回、『ウズ・ルジアダス』をやっと読み、感想を書くにあたって、『ウズ・ルジアダス』について調べていたら、朝日新聞の「天声人語」欄にそのことが書いてあるらしいことがわかった。
そういえば、この天声人語、切り取っていたはず…。探してみたら、ありました! 日付をメモってないけれど、2006年末あたりだろうか。ロカ岬で書いて出さなかった手紙のことを、『あなたに褒められたくて』という著作で書いていらっしゃるそうだ。高倉さんが文化功労者に選ばれたときの、天声人語のようですね。
本を読んだ後で、えっと、…この有名な言葉、でてきたっけ? と調べてみたら、第3歌20章にあるそうで、見てみた。あった、あった。
「見よ,ここにヨーロッパぜんたいのいわば
いただきにルシタニア王国がある.
ここで大地はおわり,海がはじまる.
そしてポイボスが大洋にいこうのだ.」(p.93)
んー、文語調の「ここに地果て〜」とは雰囲気が違いますが、確かにありました。ポイボスというのは、注(第1歌4章7)によると、アポロのことだそうで、つまり太陽のことだそうです。
こんなふうに、ギリシャ・ローマ神話のことがたくさんでてきます。
ギリシャの神々の、バッカスが、ガマたちの航海をじゃましようとして、ヴェヌスがガマたちの航海を助ける。(しかし、ガマはそれを知らない。)
それが表面上の筋としては大筋になっている。
そう、最初、ウズ・ルジアダスが叙事詩ときいたとき、ガマが主役と知ったときは、ガマがとても英雄視されているのだろうと思っていました。 でも読んでみると、全然ちがった。
例えば、もうだいぶ忘れたけれど [132]『エル・シードの歌』や、[145]『ローランの歌』なんかだと、主人公は、もうとても英雄の誉れで輝いていたと思うのですが、こちらのガマは、印象が薄い感じ。
ガマの物語というよりも、ポルトガル(ルシタニア)の偉大さを歌っているみたいに感じた。
解説のページを、興味深く読みました。
ポルトガルの歴史や英雄は知らないので、人の名前はむずかしく、注を読むのは大変だった。自国の歴史や英雄、また他の国の歴史や英雄も出てきて、歴史の知識の下地がいるなと思った。
エル・シードのロドリゴ・ルイ・ディアス・デ・ビバール(第4歌8章3)や、テルモピュレの英雄「スパルタ王レオニダス」(第10歌21章4)について記述が出てきた時は、嬉しかった。
(参考:テルモピュレ:ブログの関連記事)
あと、関係ないですけど、朝日新聞のマンガの「ののちゃん」。
キクチ食堂に、吉川ロカという人がアルバイトに入りました。定休日にライブをしたいということだったと思います。この間、6月29日(月)の朝刊の「ののちゃん 4341回」でロカさんは定休日ライブをしており、ポルトガル語?で歌っています。お客は、
「ポルトガル語とかわからんが 雰囲気あったねぇ」
「キクチ食堂がリスボンの酒場にみえてきたよ。」
と言っていますが、作者のいしいひさいちさんは、ポルトガルやロカ岬に興味があるのでしょうか?
(2009年8月5日追記)
ちょうど今(2009年6〜8月)、朝日新聞にマカオ観光局提供の、連載「マカオ 南蛮渡来の世界遺産」が載っています。
つい先日、8月4日の第9回分に、「ウズ・ルジアダス」と「カモンエス(カモンイス)」のことが載っていました! 本を読み終え、タイミングがぴったりで嬉しかったです。
(2009年8月16日追記)
(参考:ブログの関連記事:「宝塚「コインブラ物語」と「ウズ・ルジアダス」」)「ティンペティル」という架空の町。
子どもたちは、わるふざけがすぎていた。
「血まみれオスカル」なんていうあだ名の、おやぶん肌の少年にひきいられた<海賊団>の一味が子どもたちを仲間に入れ、さわぎはますますひどくなってきていた。
ネコのペーターのしっぽに時計目覚まし時計がくくりつけられたせいでおこった大騒ぎ。きれた大人たちは、とうとう、大きな作戦にでた。翌朝、町から大人がいなくなってしまったのだ! 水も電気も通らない町に残された子どもたちは、いったいどうすればいいのか…?
面白かったです。かなりぶあついけれど、スピーディに読めた。
中盤、子どもたちの名前が覚えられなくて、割り振られた仕事も複雑になってきて 頭がごちゃごちゃになってきたけれど。
主役のトーマスと眼鏡をかけたマンフレート=<教授>、二人の活躍はめざましく、女の子のマリアンネはかわいらしくさわやかで活発。
今だったら、子どもたちだけで発電所を動かすなんて、とてもできないだろう。小さな町だからできたとしても、ちょっとそこまでは不自然かなとも思うけれど。
トーマスは、出来すぎる。
海賊団の捕虜をほんものの留置場にとじこめるなんて、やりすぎでは…。
オスカルへの罰は、ほんとうにきつくおもえた…。人が人にそういうことをするのは、きついことだ…。だから最後は一件落着したのことはよかったと思う。
ウィンターフェルトはドイツで生まれた人で、この本は最初はスイスで出版されたそうです。この邦訳版の絵は、英語版からとったそうです。この絵はあまりしっくりしていないように感じました。ヨーロッパの香りがしないので…。
ウィンターフェルトの他の作品も読みたいと思っている。
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