うつ病の疑いを持ったとき、まずどこに相談するか?
本人が精神科に行けるとよいのですが、うつ病のときは受診するという決断も出かけるという決断も本人には難しいかもしれません。
本人は目の前の問題を真剣に考えています。まさかそこに病気がひそんでいる可能性があるとは考えません。それは病気の可能性がない人たちとまったく同じです。
物事を真剣に考えているときに、突然、「きみは病気だ」などといわれて「そうだ」と言う人はそうそういません。
周囲の人が言動や様子から異変に気づき本人に病院へ行くようすすめると、周囲を煩わしている自分に対し極度の嫌悪感を抱いてしまうことがあります。
また、自身の「気の問題」「我慢の問題」として内にしまってしまうこともあります。
そんな時利用しやすいのが、市区町村の保険センターや都道府県の精神保健福祉センターなどの公的なこころのケア専門機関です。匿名で相談することができ、
多くは家族や関係者からでも相談可能です。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、精神保健福祉法によって各都道府県・政令指定都市に1箇所設置することが定められています。(東京都は3か所)
本人や関係者からのこころの電話相談がおこなわれており、「こころの健康センター」「こころの健康総合センター」などと呼ばれているところもあります。
- 精神保健福祉相談・・・さまざまなこころの不安や、病気かどうかといった本人や関係者からのこころの電話相談
(匿名可)や、思春期・青年期の相談、薬物・アルコール依存に関する相談等
- こころの健康に関する講演会やイベント、広報誌発行による啓発活動
- 精神科対象者の社会復帰に向けての事業(県によってちがいがありますが、日中通えるデイケア、宿泊施設での社会復帰制度、ショートステイサービスなど)
などがあります。
全国の精神保健福祉センター一覧
※1~3:出典/「あなたの家族が病気になったときに読む本 うつ病」(福井次矢、川島みどり、大熊由紀子/編、上島国利、衛藤理砂、近藤昭子、土村啓子/執筆、講談社)
保健センター
市区町村が開設している保健センターには、乳幼児や成人・高齢者対象の健診や予防接種、健康相談、健康教育等、訪問指導などのサービスがあります。
相談できることは・・・
- 学校や会社に行くのがつらい。話を聞いてもらいたい。
- 最近、家族の様子がおかしいし、元気がない。どう接したらよいか。
- 明らかに病気と思われるが、どのように受診させたらよいか。
- 精神科を受診しているが思わしくない。また主治医ともうまくいっていない。
- 同じように悩んでいるひとたちの自助グループを知りたい。
- 地域のほかの相談機関を知りたい。
- 家庭訪問をしてもらいたい。
- 地域の医療機関を紹介してほしい。
などといった相談や、「受診を迷っている」というような相談などを匿名で相談できます。
全国の保健センター一覧(法人変更などにより現在保健センター一覧がありません。)
→保健所でも同様の相談をしています。また保健所の管轄内に保健センターがある場合もあります。全国の保健所一覧(全国保健所長会)
→いきる・支える全国の各種相談窓口一覧
※1~8:出典/「あなたの家族が病気になったときに読む本 うつ病」(福井次矢、川島みどり、大熊由紀子/編、上島国利、衛藤理砂、近藤昭子、土村啓子/執筆、講談社)
※一部の保健所は保健センターに持ち込まれた相談を専門的に支援するという立場にかわりました。
ソーシャルワーカー
病院で、入院中の本人や家族、外来でかかっている人やその家族、これからかかろうとする人やその家族が安心して治療に専念できるようサポートする専門スタッフです。
「うつ病」にかかわるソーシャルワーカーは、精神病床や精神科の外来を持つ総合病院、精神科単科病院、
精神科クリニックの「医療相談室」「福祉相談室」といった名称の部屋に配属されています。
総合病院では MSW (medical social workerの略)、精神科では PSW (psychiatric social workerの略)とも呼ばれます。
多くは国家資格を持つ社会福祉士や精神保健福祉士です。昔からの呼称で「ケースワーカー」と呼ばれることもあります。
ソーシャルワーカーは、治療や療養の妨げとなる生活上の不安や心配事などを一緒に考え、相談者が解決していけるよう手助けしたり、
入院や退院計画の支援や地域連携の促進などを、社会福祉の立場から担当します。
また、「今私は働いていませんが、外来ではどのくらいお金がかかりますか?」といった費用の問い合わせなど、
入院、外来、病院への電話相談の窓口になっているところもあるようです。
電話相談窓口
さまざまな公的機関や、民間団体が相談業務を行っています。
ほか
急変時の救急体制
まずはじめに救急医療に相談するのではありませんが、いざというときのことを家族や周囲の人が知っておくことは、
見守る側の心の余裕にもつながりますし、知ってくれているという安心感を患者が得ることが出来るかもしれません。
- メモをとる
- 身近にいる人は、患者の睡眠状態や食欲、会話、表情の変化などがよく分かるので、メモをとるなどして日頃から状況を記録しておくと良いでしょう。
また、薬の名前、用法、用量などを知っておくこともいざというとき役立ちます。
急変時だけではなく、相談窓口や医療機関にかかる際にも非常に役に立ちます。
- 服用中の薬を把握する
- 服用中の薬は、通常処方箋を持ち込んだ薬局で購入時に薬剤師が薬の説明をし、薬の説明書をくれます。
そこには、薬の名前、用法、用量、服用に際しての注意事項などが書かれていますから、かならずひとまとめにして保存しておきましょう。
またおくすり手帳で管理する方法もあります。おくすり手帳は薬局でもらえます。病院ごとに1冊を用意するのではなく、
一人に1冊として管理し、どの医療機関や薬局へ行っても同じ手帳を使ってください。緊急連絡先や主治医のいる病院の連絡先、主治医の名前も控えておきます。
- 居住地の救急システムを知る
- 夜間・休日に精神状態が急変したときのために、各都道府県では「精神科夜間休日救急診療」制度を設けています。
十分とはいえない状況のようですが、自分の地域がどのような救急システムになっているかあらかじめ
保健センターなどで確認します。
上記相談窓口の詳細、およびそのほかの電話相談窓口・各種相談機関につきましては
>>><相談窓口一覧>をご覧ください。
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