陰陽五行説他


第8章 陰陽五行説及び讖緯学
一 陰陽五行説
 陰陽五行説は、陰陽八卦説と五行説とが結びついたもので、京房などによって考えられた。陰陽及び八卦の消長を応用して人事の吉凶禍福を判断し、天地間の一切の事物を五行にあてはめて説明した。この五行と陰陽八卦の組合せによって人間生活の諸事象を解釈した。

二 讖緯学
 讖緯学(しんいがく)は、神秘的迷信的な学問で、讖(しん)は未来を予言する予言書のようなもの、緯(い)は経に対する語で、経書を補うもの。緯書の多くは陰陽五行説や災異思想からなっている。

三 緯書の内容と卦気説
 緯書の種目には七緯三十五種があり、内容は陰陽五行、災異、神話伝説等雑多なものを包含し、神秘的迷信的要素が附加されている。易緯は象と数とによって易を説いた。卦気説は易の六十四卦を気候に配当して説くもので、一種の暦術で、孟喜や京房の易学の中心を為すものである。
 卦気説は、坎・離・震・兌を四正卦と謂い、四方(東西南北)、四時(春夏秋冬)に配当し、残りの六十卦を十二辰(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)に配当する。一辰は五卦となり、これを各々公・辟・侯・大夫・卿(けい)とする。
 辟卦に属する卦は、復・臨・泰・大壮・夬・乾・こう・遯・否・観・剥・坤でこれを十二消息卦と謂う。四正卦(坎・離・震・兌)には二十四爻あり、二十四気に配当する。十二消息卦には七十二爻あり、一年を七十二候に配当し、一候は五日となる。四正卦を除いた六十卦には三百六十爻あり、一年の日数に配当する。卦気は中孚の卦を起点として活動する。