爻・上経3
爻の見方(流れ・位置)
火雷噬こう
初爻と上爻は刑を受ける者、二爻〜五爻は刑を裁く者で爻によって立場が違う。
初九(正) 初爻は刑罰の始め、罪の軽い内にこれ以上悪い事をさせない。
六二(柔順中正) 二爻は初爻を裁くのでまだ裁きやすい。
六三(不正) 三爻は爻が進み裁き難くなり、位も不正なので毒にあたるようなものだが裁ける。
九四(不正) 四爻は一層裁き難くなるが、こちらも剛爻でなんとか裁くことができる。
六五(中・不正) 五爻は君位で離明の主なので裁くことができるが、直接裁くことに危うさが残る。
上九(不正) 上爻は刑罰の極、聡明でなく厳罰となる。
山火賁
初九(正) 初爻は最下位で趾をかざる。歩くこと。
六二(柔順中正) 二爻はひげでかざる。上と一緒。
九三(正) 三爻は飾らないで永貞にする。
六四(正) 四爻はまだ飾っていないで初爻によりかざる。
六五(中・不正) 五爻は自然によりかざる。
上九(不正) 上爻は白く飾り素朴に帰る。
山地剥
初六(不正) 初爻は剥の始めで、寝台の足を剥す。
六二(柔順中正) 二爻は上に進み、寝台の本体の一部を剥す。
六三(不正) 三爻は上爻の陽と応じているので、他の陰爻との関係を剥す。
六四(正) 四爻は身体に及ぶ。
六五(中・不正) 五爻は剥さずに連なる。
上九(不正) 上爻は二途に分かれ、君子なら車を得て、小人は家を失う。しかし消長卦から見て大方は小人と見た方が良い。
地雷復
初九(正) 初爻は成卦主で陽がかえる。
六二(柔順中正) 二爻は陽の近くにいてよくかえることができる。
六三(不正) 三爻は不正で初爻から離れているので不安定だがかえる。
六四(正) 四爻は初爻と応じているので他の陰爻から離れて独りでかえる。
六五(中・不正) 五爻は柔順で中庸の徳があるのでかえるに厚い。
上六(正) 上爻は初爻から最も遠いので迷ってしまう。
天雷无妄
初九(正) 初爻は成卦主、この爻のみ行っても无妄とならない。
六二(柔順中正) 二爻は成卦主の上に乗っているので无妄の大事さを説く。
六三(不正) 三爻は不正なので无妄の悪い面を説く。
九四(不正) 四爻は无妄の道を説く。
九五(剛健中正) 五爻は无妄の心得を説く。
上九(不正) 上爻は卦の極でこれ以上進めない、進もうとすると行き詰まってしまう。
山天大畜
初九(正) 初爻は大畜の始め、無理して進まず蓄える。
九二(中・不正) 二爻は中庸を守って自分から進まない。
九三(正) 三爻は陽位の陽爻で剛に過ぎるので注意が必要、上の志と合えば進んでもよい。
六四(正) 四爻は初爻を危険から未然に防ぐので元吉。
六五(中・不正) 五爻は二爻の危険を軽減するので吉。
上九(不正) 上爻は大畜の極で畜める必要がないので大いに通る。
山雷頤
初九(正) 初爻は陽爻だが四爻を見て物欲しくしてしまい凶になる。
六二(柔順中正) 二爻は陽に養ってもらおうとするが初爻は下なので頤の道では不可、かといって上爻は応じていないので不可。行けば凶になる。
六三(不正) 三爻は上爻と応じてはいるが、頤の道はあくまでも五爻の君主に養ってもらうことで、道に背くので不可で大凶となる。
六四(正) 四爻は頤の道には背くが、初爻により天下を養う目的があるので咎はなく吉となる。
六五(中・不正) 五爻は上爻に任せ切れれば吉となる。
上九(不正) 上爻は危ういことがあるが吉となる。
澤風大過
初六(不正) 初爻は陰爻で巽の主爻なので極端に柔順だが咎はない。
九二(中・不正) 二爻は老夫で初爻の若妻を得る、子孫を残せるので不利はない。
九三(正) 三爻は陽位の陽爻で剛にすぎて棟が曲がってしまい凶。
九四(不正) 四爻は陰位にあるので棟は曲らないが心を移すと吝となる。
九五(剛健中正) 五爻は老婦で若い夫を得る、子孫を残せないので久しくない。
上六(正) 上爻は大過の極、過ぎた行ないでも義があれば仕方ないこともある。
坎為水
初六(不正) 初爻は穴の中の穴の底、陰柔で出られない。
九二(中・不正) 二爻は陽剛で中を得ているので少しは得られるが出られない。
六三(不正) 三爻は前も後も険にあり、陰柔で穴の中の穴の底に入ってしまう。
六四(正) 四爻は位正しく剛健中正の君主と比しているので倹約を旨として心を合わせて終には咎なきを得られる。
九五(剛健中正) 五爻は剛健中正ではあるが険の中にあるのでまだ困難が続くがもう少しで抜けられる。
上六(正) 上爻は陰柔で卦の極にあるので道を失い三年間身動きできない。
離為火
初九(正) 初爻は夜明け前で慎めば咎はない。
六二(柔順中正) 二爻は柔順中正で成卦主、元吉。
九三(正) 三爻は日暮れ、人生の終わり、天寿を楽しまず嘆いていると凶。
九四(不正) 四爻は離で不正で剛なので火が強すぎて焼かれ、死んで、棄てられてしまう。居る場所がない。
六五(中・不正) 五爻は四爻などに迫られ涙を流し、憂い嘆くが離明を持ち中庸があるので吉となる。
上九(不正) 上爻は五爻の命により征伐に出かけ国を正して咎はない。