賁は、
 上爻では白く飾るで、飾らないことが却って美しい飾りになるという。

山火賁


賁は、飾るという卦

 賁は、山の麓(ふもと)で火を焚く象で、周囲が暗いので木々は明るく照らされて、美しく見えて、飾るという。また、火雷噬こうを逆さまにした卦なので障害ありの意もある。

@飾る、飾っている時
A目の前しか見えていない時
B頤中に物ありで、障害あり
C小事は可、大事は不可(彖辞)

彖辞 賁は、亨る。小しく往くところあるに利ろし。

彖伝 賁は亨る。柔来りて剛を文る。故に亨る。剛を分ち上りて柔を文る。故に小しく往くところあるに利ろし。天文なり。文明もって止まるは人文なり。天文を観てもって時変を察し、人文を観てもって天下を化成す。

象伝 山下に火あるは賁。君子もって庶政を明らかにし、敢えて獄を折むるなし。

(爻辞)
初爻 その趾を賁る。車を舎て徒す。
二爻 その須で賁る。
三爻 賁如たり。濡如たり。永貞なれば吉。
四爻 賁如たるのは如たり。白馬翰如たり。寇するにあらず婚媾せんとす。
五爻 丘園を賁る。束帛戔戔たり。吝なれども終に吉。
上爻 白く賁る。咎なし。

(小象伝)
初爻 車を舎てて徒すは、義、乗らざるなり。
二爻 その須で賁るは、上と与に興るなり。
三爻 永貞の吉は、終にこれを陵ぐ莫きなり。
四爻 六四は位に当るが疑わるなり。寇するにあらず婚媾せんとするは、終に尤なきなり。
五爻 六五の吉は、喜びあるなり。
上爻 白く賁るの咎なきは、上、志を得ればなり。